
チャイ屋さんをしているRajesh Sakreさん。
ごく一般のチャイを売る男性だ。
しかしこの男性、なんとインド政府のメガバンクState Bank of Indiaとの裁判に勝った中々侮れない人物。
遡ること4年前、Sakreさんは自分の口座の残高から9,200ルピー(約17,900円)が不足していることに気が付いた。元々20,000ルピー(約39,000円)入っていた口座からSakreさんは10,8000ルピー(約21,000円)を引き出した。もちろん本来残るべき金額は9,200ルピーだ。
しかし次回ATMに訪れたとき残高が何と0になっていたという。
びっくりしたSakreさんは近くの支店へ行き状況を説明。
しかしまともに取り合ってもらえず、自分のミスではないのかとまで言われてしまった。
仕方がないのでムンバイの総本店に抗議をしてみたがそれでも相手にしてもらえなかった。
そこでSakreさんは最終手段で地域の消費者裁判所に異議を申し立てた。
弁護士を雇う財力がないSakreさんは自分一人で裁判を闘うことにした。
銀行側はSakreさん本人が引き落としたものであると主張し続けたが、本来必要となる監視カメラの映像など十分な証拠を提出することができなかった。
そして今年6月ついに判決が言い渡された。
法廷は銀行に対しSakreさんへ9,200ルピーに加え6%の利子を2月以内に支払うことを命じた。更にSakreさんに精神的苦痛を与えたということで10,000ルピーの慰謝料とSakreさんが裁判に費やした2,000ルピーも支払うことを命じた。
前も少しふれたが、Sakreさんのようにチャイを販売して生計を立てている人にとっては大金。
1か月弱の収入に等しいのだ。
考えてみてほしい、60万円入っている銀行口座から30万円を引き出して、次残高を照会したら0。
頭が真っ白になるのではないだろうか。
そしてSakreさんはなんと教育を小学5年生までしか受けていない。
人によってはエリート集団の銀行、しかも政府運営されているところに勝てるはずなどないとあきらめてしまうかもしれない。
それでもSakreさんは負けまいと立ち向かい見事に間違いを正したのだ。
しかし「証拠がない」というのも一体どういうことなのだろうか。
ATM操作をしたときに起きたことなのだから操作履歴や監視カメラの映像が十分に残っていそうにも思うが・・・。
もし本当に銀行の手違いなのであればもっと慰謝料を払うべきだとも思う。